STORY
【あらすじ】
物語の舞台は現代の日本における現実の人生。
物語のテーマは「目に見えない傷、心の闇」。
語られるのは、ある一人の少年の物語。
この世に生を受けた時。
世の中を生きる時。
生を受けた者の意志や望みを無視して決められてしまうことがある。
生を受けた者の意志や望みとは異なるものを背負わされてしまうことがある。
能力、容姿、両親、性格、資質、事故、先天性の病気、育ちの環境といったものだ。
これらは自由に選択することも取り換えることもできない。
そういった生まれた時に背負わされた変えることができない不平等なこと。
抗いようがなかった受け入れられない理不尽な事実。
自分の意志や望みに関係なく経験しなければならない長い闇。
本人にしか分からない不平等なこと。
なぜか他人から大切に扱われることがない理不尽な事実。
それらは形は人それぞれ違うけれど、心の中に押し込めているだけで、どんな人でも抱えている。
そして、そんな過酷な苦しみとは無縁の生活を送っていた俺にも降りかかり始める。
思春期初期の春。
不意に心の中に大きな闇が生まれる。
その闇による人生と心の歯車の狂いは・・・。
生きようという意志や現実の世界に居続けようという想い。
そんな生への意欲を容赦なく消し去っていく。
理解者無し、繋がり無し、運動神経無し、取り柄無し。
無能、無気力、無興味無関心、五体満足とは思えない日々。
引きこもり、うつ病、アダルトチルドレン、対人恐怖症。
馬鹿、人間不信、犯罪、自殺。
現実の世界は不公平だ。
人生というものを生み出した存在。
それが神だと言うのなら、絶対に神を許さない。
滅べ。
消えてしまえ。
でも、現実の世界では自分の人生を代わりに生きてくれる人はいない。
ハンデを背負うことになった人はそのハンデから逃げることはできない。
背負うことになったハンデと一生付き合い、ハンデの影響を受け続けるのだろう。
待っているだけで変われるなら、どれだけ楽だろうか?
それともいつか誰かが何とかしてくれるのだろうか?
現実の世界の神は人の失望する様子を見るのが楽しいのだろうか?
やっぱり幸せとは自らの力で勝ち取るものなんだろうか?
もしそうだとしたら、何をすれば良いんだろうか?
救いようがないんだろうか?
助けを求めることはできない。
誰も助けてくれない。
空回りばかりしていた日々は消えない。
時を戻すことなんて、できやしない。
だから、今、ここから再び始めることを決意した。
納得できない。
認められない。
そうした憎しみのエネルギーを勇気に変えて。
変わり続けたい。
輝き続けたい。
終わりが見えない心の闇の中で抗い続けた先に少年を待っているものとは?
その時、少年は何を見て、何を感じるのか・・・。